2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

つよのあとさき(1)

地震の後で携帯電話がつながらない時間がしばらくあってから、貴美恵と幾与志は短信メールで連絡をとりあっていた時期があった。おなじ通信会社の端末ならば加入番号で短文のメールをやりとりするサービスがあって、貴美恵などはその存在をわすれたまま生活…

不思議なひとびとと思想的な「しっぽ」

『真実主義 明解サイキック讀本II』という本を買ったのだが、1996年5刷なのにけっこう美本である。付録が虚構のスポーツ新聞で、「北野誠、芸能界から追放か?」という見出しで、なんだか感慨深い。もちろん「放」と「か」のあいだで折られているのである。…

急性と、慢性と

妄想と幻覚の違いということに興味があって、図書館にあるわりと専門的な本を借り出して眺めている。妄想するということがどういうことかは、経験的にわかるような気がするけれど、私には幻覚体験がないし、本を書いている専門家たちもそうである様子である…

そこで筒井の名を出すかね……。

東浩紀が鬱という言葉を編集者から使うなと諭されたことがあったそうで、じゃあトラウマって言葉もつかっちゃいけないのと言っている。そして筒井康隆の断筆についても触れているのだが、しかし、筒井が同時に「作家なんて虞犯者の集まり」などと言っている…

原発沈静化がすぐに実現しないことの意味

チェルノブイリの時と違って、作業員の命を使い捨てにしていないということなのではないか。とりあえず急性放射線障害による死者は、いまのところ、報道されていない。東京都民と現場作業員たちの負うリスクがかなり等しい、等しくあるべきだ、というのなら…

民主主義なんて、偉そうな人間の妄想にすぎなかった?

呉智英の『現代マンガの全体像』の、情報センター出版局版を古書店で安く買った。前に読んだのは高校生のころなので、印象もあいまい……のはずだったのだが、読んでいて鮮明に思い出した箇所がある。「近代的啓蒙の問題点」の小見出しで、マンガ評論家たちが…

宮崎駿の震災後コメントを見た

たぶん日テレのテレビ放送で。被災地の復興に従事する自衛官や、原発の事故処理にあたる協力会社の職員たちへの賛辞。新作映画の記者会見かなにかでのコメントのようだ。編集で「メガネをはずして目元を拭う」映像が、コメントの途中に挿入されていた。テロ…

テレビの時代の演芸

http://twitter.com/ga_n_ma/status/52305633793425409 小谷野さんとのやりとりがあったこの人のつぶやきはちょっと興味ぶかい。テレビ時代の地方の演芸ということについて、考えてしまう。私が小学生の頃、地元の地域センターに笑点メンバーを含む芸人たち…

落語という文化と、寄席という文化

溝口敦のパチンコに関する本で、溝口の取材対象の誰だかが、パチンコは映画と同じに2時間で2,000円ほどを消費しかつ娯楽できてそして暇をつぶせる文化であればいい、という趣旨のことを述べていて、普通の人はそう考えるのかと思って私は仰天したことがある…

私のトラウマ映画『衝撃の懐妊・私は宇宙人の子を宿した』

もちろんテレ東で見たのである。鍵っ子で、誰もいない家のなかで一人でこれをみた小学生の私は震え上がったものである。この動画はエンディングで、女たちが晴天のなか集まってくるのが当時はやけに怖かったのである。いまの目で見ると、宇宙人や宇宙船を登…

宝くじの確率と合理性

人間が経済合理的に行動しないことを当てにした行為(宝くじの販売など)について調べないといかんのじゃないか。(http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110328) ほんとのことを書くと暗殺されちゃうからだったりして……。相撲の八百長ぐらいで「不審死」が…

つまらないものをなぜ避ける?

そもそも1970年代に大友克洋が「つゆのあとさき」を描いて、1980年代には森田芳光が『の・ようなもの』を撮っていた。落語がださいなんていうのは、(日本)映画がださいと思われる前から、思われていた。『タイガー&ドラゴン』以降の落語ブームには、正直…

原発の唯幻論

対米戦争が石油戦争だったから、敗戦後の日本の支配層は、その心理的補償をもとめて原子力発電にすがったのであろう。すがったとしか言いようのない勢いで、日本国は発電所の原発化を推進してきた。日本の支配層にとっては、アメリカからの原爆攻撃などは、…

「名を匿って、公にもの申す」

じつは私はあんまり匿名であることに関心がなくて、学生時代には戸籍名でネット活動をやっていたし、そもそも無名人だから、名乗りということにそれほど意味を見いださない。このブログだって『…の日記』としているように、要するにバーチャルな「チラシの裏…

秋葉原通り魔事件の加藤智大は順法闘争をしなかった

私は身内に加藤の犠牲者がいなかったこともあって、わりと加藤には同情的である。自分は不幸だという自己認識をもつものが、あるいは表現活動などするもので、それは当人にとって癒しや薬になるものだが、加藤はいきなり劇薬を手にとってしまったわけだ。過…

東大「家」

なにで読んだか忘れたが、養老孟司が「東大に入ったら一生卒業させてもらえない」と述懐していたことがあったけれど、あれって、要するに「東大家の一員になる」ということなのだなあ。カンニング事件で大学の代表が謝罪だかなんだかをしたことについて、い…

匿名 「調べてまとめる」と「私は見たよ!」のちがい

さてさて匿名批評というものの実例を私は知らないのだったと思って、なんとなく筒井康隆の『着想の技術』のことなどをぼんやり思い返しもしたが、筒井が嫌っていたのは、匿名批評子の「まぜっかえし」のことなのだろうと思う。相馬悠々の現物を見ようとおも…

漫画家 顕名なのに匿名という存在

最近はそうでもなくなってきたのだろうが、諷刺マンガ家などは、顕名にして匿名の存在だったのではないかと思うのだ。鈴木義司や富永一朗は、テレビ番組に出ていたし、諷刺だけではなかった。横山泰三は文化人あつかいされて勲章ももらったが、これは例外で…

震災日記

二週間ぶりの風景。夜の四ッ谷駅の改札から駅前の交差点を眺める。暗い四谷の駅前。ちょっと自分でも驚くくらいに新鮮である。週刊文春。小林信彦は若い頃(といってもいまの私よりすこし上の年齢だった時代)に、京王プラザホテルの最上階だかで地震に遭遇…

統治の不思議

量子力学のスケールでみれば、私たちの体は虚ろな空間なのだそうである。ところどころに原子だか分子だかが浮かんでいる。そんなものを私たちの心が統御している、あるいは統御できていると思うのも、不思議な話である。都知事選の話をしているのだが、同時…

兵站ぐらいしっかりしてやれよ

原発に対処している現場の人がカロリーメイトだけとか、ありえん話だ。おれなんかは地震からこっち、うまいものばっかり食ってストレスをまぎらわしていたけど…。

東京で使う電力は東京でまかなうべきか

(政治)権力と平等は両立しないことが、今度の原発事故で鮮明になった感じ。分業とか集約というものも、結局はイデオロギーでしかなかった。原発は絶対に安全だということを、原発推進側はいやでも言わなければいけなかったのである。相対的にどうこうとい…

震災日記

いまだに大きめの余震が途絶えない。いまこれを書いている時にも余震が来た。こんなに後をひく地震というのは、たぶん人生初ではないかと思う。昨日は一日中雨で、地震が発生したあと数日後にすこし雨が降ったけれども、おとといぐらいからはじまったこの雨…

間を取って…

飲料水にはペットボトル飲料(ミネラルウォーターが売り切れてるから)を、煮炊きは水道水をあてる、ということにしようか…。だいたい放射線障害、とくに内部被曝の場合は、確率がからむわけでしょ? 私も『チェルノブイリの森』一冊で、にわか評論家になっ…

リビア情勢

英仏がそんなに石油に飢えてるとも思えないので、なぜああ焦るのか不審である。あるいはリビアはアラブの中で浮いた存在だから周辺国に恩を売っておこうということか。民主主義のジレンマ。産油国が民主化したら、先進資本主義国家により高く石油を売るよう…

ゴダール賛

その最新作で家庭崩壊の危機にあえぐガソリンスタンドの親父を登場人物にえらんだ映画監督は、さすがに冴えてるというべきか、彼ぐらいの人物にしてみれば当然、とみなすべきか。

『踊る大走査線3 ヤツらを解放せよ!』

シリーズが長期化しているため、世代交代の布石をうつエピソードとしてつくられたようだ。新しいエリート側のライバルとして小栗旬が登場している。すでに死去しているいかりや長介の役の甥として、伊藤淳史が起用されている。いかりやの役に相当するポジシ…

『劇場版ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団』

『踊る3』では津嘉山正種が、わりと長い見せ場をゲットしていて、柳葉敏郎と対峙していたが、その津嘉山は、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』の予告編で、ちょっと声の調子が悪いようだったので私は心配していたのだが、新しいバージョンの予告編では津嘉山…

『獄中記』読後感

どちらかというと「佐藤優の紙ブログ」という印象のもので、獄中の具体的な生活のあれこれはかなり省略されている。膨大なノートから相当けずってこういう形になったものらしい。正直言って私は宗教にも神学にも関心が持てないが、社会にかんして考察を深め…