2011-08-01から1ヶ月間の記事一覧

瘋癲

そういえば、『瘋癲老人日記』から、フーテン族を経て、「フーテンの寅さん」へ至る「瘋癲」の変遷というのもある。「てんきょういん(癲狂院)」なんて、今時、いきなり聞かされても、なんのことか判らない言葉だ。 寅次郎というキャラクターを、テキ屋とか…

やさぐれ

冬のやさぐれはきついもんね。じゃあね。(荒井晴彦脚本『ハードスキャンダル 性の漂流者』) やさぐれるというのは、なんとなくニュアンスは判るのだが、意味が分からなかったので用心して使わないでいた言葉だ。 私は「やさ」の意味を知っていたくせに、「…

『ツリー・オブ・ライフ』

リチャード・ドーキンスが、神を信じないながらもことさらに宗教を攻撃しない一般人たちを「彼らは神は信じなくても、信仰は信じているのだ」と苦々しく表現したことがあったが、まさに、この映画は神を信じない人にも信仰の大切さを訴えようとした宗教映画…

なんだかな

http://twitter.com/#!/tonton1965/status/102425458301353984キリスト教の神様は、自分の姿に似せて人間を作ったのだから、人間は神の栄光をたたえるために、動物のように性をむさぼってはいけない(実際の動物の行動がどうであるかはさておき)という建前…

『A3』

私たちオウムの外部の人間は、一般的には、オウム真理教事件を、あの教団が順次凶悪・強大化していくプロセスとして把握しているが、しかし、内部の幹部信者、たとえば中川智正などの見方からすれば、これはまったく正反対で、オウムが宗教の組織として、自…

しかし村井秀夫って人はまあ

大変な、というか、困った人だったんだなあ、ということを思う。私が連想するのはルイセンコのような、イデオロギーに従順な科学者である。ルイセンコは村井と違って、親玉(スターリン)に無理難題をのこして死んだりはしなかったが。 『A3』で、早川紀代秀…

もしmailinglistの日記の中の人が岩崎夏海の『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』を読んだら

私は岩崎さんという人には、kokadaさんがずいぶん嫌っている人という認識しか持っていなくて、一度もしドラというのを書店で手にとったこともあったが、ずいぶん垢抜けない冒頭に驚いた記憶がある。 で、今日たまたま(http://www.amazon.co.jp/gp/feature.h…

信号と旋律

小谷野さんの挙げる『署長マクミラン』が、『男と女』や『イパネマの娘』のバリエーションに聴こえてしまう…。 偏見かもしれないが、日本人のつくるメロディは、あまり信号っぽくならないのである。現代音楽の作曲家はそうではないのかもしれないが、ポップ…

民間殺人と公共殺人

公共殺人というのは、要するに死刑のことだ。つらつら考えていたが、やはり純粋な殺人というものは死刑以外にはないのではないだろうか。日常的には「殺人」と「死刑」は別物だと考えられているが、しかし、いわゆる殺人というのは、一般人が犯し、政治権力…

虚構の世界における純粋殺人

私などはやはり落語の「死に神」がまっさきに思い浮かぶ。あれは命を蝋燭の炎として描くことで、そのはかなさを表現しているわけだ。本当に命がはかないものかどうかはよくわからないのだが。私は生物に興味があっても生命には関心がないというのは、前にも…

純粋殺人?

小谷野さんの「殺人を犯す素質」というものがよくわからない。(たとえばhttp://twitter.com/#!/tonton1965/status/100374297142497280) エド・ゲインにしろジェフリー・ダーマーにしろ、偏った生育環境と、生まれつきの反社会性、嗜虐性、粗暴性が渾然一体…

『死ね!死ね!シネマ』

現実との妥協を映画ファンから嗤われ、さらには表現の不徹底を信者の女子高生からなじられた映画監督が、屈辱と悔恨の苦しみから発狂して、自ら連続暴行殺人の犯人に変貌し、またその様子を自分で撮影する。究極の衝撃映像をものしたわけである。かれは自殺…

『悪魔のいけにえ』

眼のクローズアップがやたらにあることを、以前はみすごしていたようだ。自分がいかに漫然と映画を観ているのかを思い知らされる。 私がこの映画で一番怖いと感じるシーンは、肉吊り用のフックに人間が生きたまま引っ掛けられるところである。一方、チェーン…

『ヘルハウス』

ホラー開眼体験をする前には、これがいちばん私の怖いホラー映画であったのだが、いま見直すとそんなに怖くはない。役者の演技でもたせている映画である。なにより、死霊が生前のうちに死後のことを考えて、部屋を鉛張りにしていたというオチがあまりに「科…

ゾンビ対サメ、『サンゲリア』

私などがいまさら論評するまでもないくらいの有名作。『死ね!死ね!シネマ』に関わったことで、私のなかにかつてあったホラーへの嫌悪感のようなものがなくなったので、いろいろ観てみたくなったのである。 制作当時、『ジョーズ』と『ゾンビ』がはやってい…