2012-01-01から1年間の記事一覧

『愛のゆくえ(仮)』

もともと、平田某の事件が心の片隅に引っかかっていたプロデューサーが、ある芝居を観て、それが偶然にも某のニュースを素材にしていたことを見抜いて、やはりあの自首の事件を形にとどめたい、映画化したい、と思った、というのが映画の企画のはじまりだっ…

『Playback』

こどものころ、テレビの西部劇のやられやくが主人公に撃たれて、倒れる、乾燥した荒野の大地にばったり倒れる様子に、深い印象を受けて、友達すうにんといっしょになって、西部劇ごっこに夢中になって、なんども何度も、死ぬ練習に興じていたことを、この映…

映画の宣伝です

リム・カーワイ監督特集 シネマ・ドリフターの無国籍三部作 http://a-shibuya.jp/archives/3862 杉田協士監督作品『ひとつの歌』 http://www.boid-newcinema.com/hitotsunouta/どちらも私なんかが宣伝しなくても気になる人はすでに観に行く予定を立てている…

『プロメテウス』に寄せる日本人のニヤニヤ笑い

宇宙怪獣が宇宙人に襲い掛かり、宇宙人が必死で怪獣と戦う様を、呆然と地球人が眺めている――。 いやあ、西洋人のみなさん、やっとこの境地にたどり着いたんですね。おめでとうございます。私たち日本人は「ウルトラマン」で、こういうシュールさ、やり場のな…

教育学によせる憎まれ口

小谷野さんがブログで、教育学にたいする憎まれ口のようなものを書いているのをみて、ふと1980年代の橋本治が似たようなことを書いていたのを思い出した(といってもそれを私が読んだのは1990年代後半のころのことだが)。出典は思い出せないが、たぶん、『…

犯罪の要素

他人に迷惑をかけることによって発生するであろう他人の心の苦痛を実際に他人に与えるための犯罪は、けっこうある、というか、かえってこちらのほうが犯罪の要素として多数を占めるのではないかとすら思う。例によって実証できない無駄事を私はつらつら考え…

中村珍『羣青』

『桐島、部活やめるってよ』をレビューしていたあるブログの管理人の人が、この漫画のレビューもしていて、表紙の絵の力強さにひかれて買ってきたのだが…、 これは参った、という感じの、素晴らしい作品である。最近ぜんぜん小説と漫画をフォローしていなか…

小説『桐島、部活やめるってよ』

映画版『桐島、部活やめるってよ』は、そつのない洗練された映画で、大いに楽しんだのだが、あまりにも映画としてまとまりが良すぎたので、原作の小説がどうなっているのかに興味をもって、さっそく文庫版を買って読んだら、 非常に驚いたのである。最近のエ…

事実らしいことに関する隠微な忍び笑い

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20120813 「断片」と称するわりには、散文的にとりとめなく続く小谷野さんの手記である。「さらに三、四年前の話だが」などと書けばよさそうなところを「もうそれから三、四年以前のことだが」とするなど、どの時点を現在…

「断片」について

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20120809 http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20120811ハタメイコ余聞、ということで、YMをめぐる事件がひと段落したので、フレームアップの当事者による告白である。 読んでいても何も意外な気がしないのは、リアルタイ…

「よろしくです」

http://d.hatena.ne.jp/mailinglist/searchdiary?word=%B4%ED%A4%CA%A4%A4%A4%C7%A4%B9 よろしくお願いします、ではなく、よろしくです、という言い方が私の周囲で目につくようになってきた。「危ないです」は、形容詞+助動詞だが、副詞+助動詞のパターン…

隗よりはじめよ

kokadaさんが紹介していた佐倉統(さくらおさむ)のツイートには疑問がある。まじめにインフラ維持に従事してつつましく暮らす市井の人々(とまでは佐倉は言わないが)に対して坂本龍一の傲慢は一体全体何事か(とまでは佐倉は言わないのだが)ということで…

現代の自我の病と、著作物の尊厳について

http://togetter.com/li/338917 これは面白かった。いま私は、ジェームズ・キャメロンが『アバター』を作った意味についてあれこれ考えていて、それは要するに創作物は作者の分身であるのか否か、といったようなことで、この現代のいきすぎた(?)情報化社…

あれこれ

東大生が不謹慎な冗談をツイッターに投稿して、東大準教授の人がこれを憂慮して制裁的な対応の可能性をツイッターで言及したら、さらに「外部の」ツイッターアカウント複数名から東大純教授の人の行き過ぎが議論される、という展開が、去年、震災後すぐの時…

心の闇と映画(『先生を流産させる会』)

そういえば心の闇という言葉も、なんだか馬鹿が好む言葉のような気がして、私はまず使わない言葉である。心というのは、通常他人には見えないか見えにくいものとされていて、さらにその奥かどこかに陰になっている部分があってそこになにやら汚らしい何者か…

不謹慎なあれこれ

林真須美冤罪説について。私はこの説を週刊誌で読んで、たしかにありそうな話だなあと思ったのだが、しかし、詐欺常習犯だったことを理由に利益のないこと(カレー鍋への砒素混入)をするはずない、とまでは言えないのではないかと最近は思うようになってき…

「ソウ」シリーズの機知

映画「ソウ」の第一作は、ソフトが出回るようになってからわりと早い段階で見て、けっこう楽しんだのだが、続編にはなぜか食指が動かなかった。 シリーズはずいぶん長く続いて、7作目でやっと打ち止めだそうで、よくそんなに続編が続いたなあと思った。 昨…

ユング

『人間と象徴』『心理学と錬金術』『自我と無意識の関係』『黄金の華の秘密』『空飛ぶ円盤』などを斜め読みした。 結局のところ、心は広大な海洋で意識はそのなかに浮かぶ小島に過ぎない、ということを思うのだ。それ以上にうがったことをいおうとすると、言…

UFOばなし

ソコロ事件のロニー・ザモラが目撃したUFOは、当時普及がはじまったばかりの少人数乗込式のゴンドラ熱気球だったのではないかと考察しているブログを見た。http://blogs.yahoo.co.jp/to7002/35571572.html この意見は興味深い。 ユングの『空飛ぶ円盤』を読…

ゴジラ第一作

ユングの本を読むのに疲れたので気晴らしに見たのだが、通してみるのは初めてで、こんなに含蓄にとんだ作品だとは思わなかった。 もしも日本人が最終兵器を発明したら、というスペキュレイティブ・フィクションだったのである。アメリカの水爆実験で誕生した…

マンダラをほどいたものが映画?

ユングは1875年に生まれているから、1856年に生まれたフロイトよりも映画に親しんでいたのではないか、というのは私の勝手な思い込みだが、20歳のころ映画の誕生を迎えて、トーキー化を遂げたころでもまだ60歳にすぎなかったユングの人生はたしかに興味深い。…

楽器と服装

映像の点滅が激しく目が疲れるので、視聴には注意してください。 ホルン奏者たちだけ正装なのがなんだか不釣合いな気がするが、案外日本の純邦楽の人が封建時代の格好で音楽を奏でるのと同じで、楽器にはドレスコードが付随するものなのかもしれない。 私た…

ユング

心は意識よりも広くて、意識では捉えられない心の部分が、無意識から夢や象徴のかたちをとって表れてくる、というのは、まあ、わかる。 ようするに、そういう不可知部分を形式化すると、言説は一挙にあやしくなる、ということなのだろうな。私はフロイトの自…

言葉はわからなくて当然、という考え方

万葉集をはじめから順に読むと雑歌などあって、しかも短歌ではなく長歌や旋頭歌などの長いものは、こちらがそもそも古典の教養を欠き、さらには古語辞典も碌に引かずに読んでいるからというのもあるが、これらがよくわからない。「そのこころは」と言うとき…

「ジョジョの奇妙な冒険 パクリ糾弾テンプレまとめ」

http://www30.atwiki.jp/ichi-1/pages/12.html2009年からやっていて、47万ビュー程度というのが意外である。 扉絵や表紙絵は、あきらかに剽窃しているが、漫画のほうはどうだろう。これはアレンジの範囲内としてあげていいのではないか。 ディオの「無駄無駄…

しったか-ぶり

牧村健一郎著『獅子文六の二つの昭和』を眺めていたら、ちょっと面白い箇所があったので、メモしておく。日本語の話であって、牧村著の内容に対するものではない。 「『自由学校』の作者には、「超然とした余裕があり、読者の喜びそうな今の世間の汚らしい有…

甘えそのものは構わないと思うのだが…

「商品になっていない」「甘えである」というのがセットになっていて、つい、あはは、と笑ってしまった。ある種の心性が典型的に表現されているなあ、と思ったのである。 『監督失格』は、普通でない人が、自分の普通でなさにちゃんとむきあったドキュメント…

陰謀のセオリー

小谷野さんの『極東セレナーデ』への漫罵の文意がとりづらく、「新人タレントを原発安全CMに使うなんてことはマネジャーだって所属会社だって嫌がることで」というのが、小林の前提であって、それが小谷野さんにとってありえないということなのだろうか。…

『恋愛の昭和史』

もしかしたら部分的につまみぐいしたことはあったかもしれないが、通読するのははじめてだと思う。 近世から明治初期をへて、家庭小説が文藝の世界に台頭する時点から、詳細に大衆文学や一部純文学を論じて、読者大衆や、あるいは純文学を愛好するエリート層…

婚活殺人って裁判員裁判だったのか

物証なしに被告人を死刑にするのはやはりまずいのではないか。たとえ被告が真犯人だったとしてもそう思う。 こういうケースに遭遇すると、事件は会議室でも現場でもなく、私たち自身の頭の中で起こっているのだということがよくわかる。死の不可逆性、関係が…