2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『それから』(森田芳光)

洋画の『卒業』を連想した。保護されているということは、反面、幽閉されているということでもある。臆病で卑怯で、かつ知恵のまわるところがある主人公は、自分があたえられた状況を、さも自分が望み仕組んだ結果であるかのように自己欺瞞していて、その嘘…

『アナザー・プラネット』

『メランコリア』とビジュアルが似通っていたので、つい好奇心を刺激されてiTunesストアでレンタルしてみた。 低予算映画である。地球の近くに地球そっくりの惑星が出現したという設定の現代、主人公の女学生は飲酒運転で交通事故を起こし作曲家の家族を死な…

映像生活

ネットをWiFiに替えたのに合わせて、映画のレンタルもiTunesストアからの配信にきりかえた。借りたソフトを返却しに行かなくて済むというのは、らくちんでいい。 家庭での映像視聴にハイデフ・ハイファイを要求するたちではないので、ロースペックの映像で十…

『ヒアアフター』

『J・エドガー』もそうだったが、秘密をもった少数者がつどって連帯をむすぶモチーフが、イーストウッドは本当に好きなのだろうな、と思う。彼にとって映画的であると感じられるモチーフは、わりとチャップリンのそれに近いような気がするのだ。『ヒアアフタ…

不思議なエッセイ

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20120222 「しかし石原は不満たらたらで」がいつの時期なのかよくわからない。高坂との対談記事が出たのが1971年だったら、三島由紀夫は石原を諌め様がないからだ。

『インフォーマント!』

未見だったソダーバーグ監督作をぽちぽちと見ている。 自分の失策から会社の目をそらすために、会社重役である主人公は架空の産業スパイの存在をでっち上げ、まんまと騙された会社はFBIに捜査を依頼する。自分の嘘がばれることを恐れた主人公は、本丸である…

『メランコリア』

なんだか人がたくさん死ぬ映画ばかり見ているような気がするが…。 そういうことを考える必要は本当はないのだろうが、この映画をどう見れば、つまりどう受け取ればいいのか、ちょっと考え込んでしまったのである。 自分の披露宴をみずからぶち壊した花嫁が、…

『男たちの大和』主人公の「失意」の人生

まえにテレビ放送で一部分だけ見たときは、あまり感想が浮かばなくて、仲代達矢が実年齢よりも年長の役を演じていることがちょっと印象に残ったくらいだったが、今度全編を拝見したらなかなか興味深い作品だと思ったのだ。 老年期を仲代が演じる神尾は、少年…

『生きてるものはいないのか』

舞台で俳優が「大量死」していくというのは面白い趣向なのかもしれないが、それを映画にすると普通になってしまう。難しいところだ。 パニック状況の中で、倫理観が麻痺した人物が死にたがっている人間を絞殺する。このくだりはちょっと面白いと思ったが、と…

『真幸くあらば』、『ドラゴン・タトゥーの女』、などなど

YouTubeで、シリアだかリビアだかの処刑現場をカメラがおさめた動画を見た。撮影者なのか、周囲の人物なのか、とにかく画面外から興奮した調子で、男がわめきつづけている。もちろん何を言っているのか、わたしにはさっぱりわからず、英語でないことが了解で…