2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴジラ第一作

ユングの本を読むのに疲れたので気晴らしに見たのだが、通してみるのは初めてで、こんなに含蓄にとんだ作品だとは思わなかった。 もしも日本人が最終兵器を発明したら、というスペキュレイティブ・フィクションだったのである。アメリカの水爆実験で誕生した…

マンダラをほどいたものが映画?

ユングは1875年に生まれているから、1856年に生まれたフロイトよりも映画に親しんでいたのではないか、というのは私の勝手な思い込みだが、20歳のころ映画の誕生を迎えて、トーキー化を遂げたころでもまだ60歳にすぎなかったユングの人生はたしかに興味深い。…

楽器と服装

映像の点滅が激しく目が疲れるので、視聴には注意してください。 ホルン奏者たちだけ正装なのがなんだか不釣合いな気がするが、案外日本の純邦楽の人が封建時代の格好で音楽を奏でるのと同じで、楽器にはドレスコードが付随するものなのかもしれない。 私た…

ユング

心は意識よりも広くて、意識では捉えられない心の部分が、無意識から夢や象徴のかたちをとって表れてくる、というのは、まあ、わかる。 ようするに、そういう不可知部分を形式化すると、言説は一挙にあやしくなる、ということなのだろうな。私はフロイトの自…

言葉はわからなくて当然、という考え方

万葉集をはじめから順に読むと雑歌などあって、しかも短歌ではなく長歌や旋頭歌などの長いものは、こちらがそもそも古典の教養を欠き、さらには古語辞典も碌に引かずに読んでいるからというのもあるが、これらがよくわからない。「そのこころは」と言うとき…

「ジョジョの奇妙な冒険 パクリ糾弾テンプレまとめ」

http://www30.atwiki.jp/ichi-1/pages/12.html2009年からやっていて、47万ビュー程度というのが意外である。 扉絵や表紙絵は、あきらかに剽窃しているが、漫画のほうはどうだろう。これはアレンジの範囲内としてあげていいのではないか。 ディオの「無駄無駄…

しったか-ぶり

牧村健一郎著『獅子文六の二つの昭和』を眺めていたら、ちょっと面白い箇所があったので、メモしておく。日本語の話であって、牧村著の内容に対するものではない。 「『自由学校』の作者には、「超然とした余裕があり、読者の喜びそうな今の世間の汚らしい有…

甘えそのものは構わないと思うのだが…

「商品になっていない」「甘えである」というのがセットになっていて、つい、あはは、と笑ってしまった。ある種の心性が典型的に表現されているなあ、と思ったのである。 『監督失格』は、普通でない人が、自分の普通でなさにちゃんとむきあったドキュメント…

陰謀のセオリー

小谷野さんの『極東セレナーデ』への漫罵の文意がとりづらく、「新人タレントを原発安全CMに使うなんてことはマネジャーだって所属会社だって嫌がることで」というのが、小林の前提であって、それが小谷野さんにとってありえないということなのだろうか。…

『恋愛の昭和史』

もしかしたら部分的につまみぐいしたことはあったかもしれないが、通読するのははじめてだと思う。 近世から明治初期をへて、家庭小説が文藝の世界に台頭する時点から、詳細に大衆文学や一部純文学を論じて、読者大衆や、あるいは純文学を愛好するエリート層…

婚活殺人って裁判員裁判だったのか

物証なしに被告人を死刑にするのはやはりまずいのではないか。たとえ被告が真犯人だったとしてもそう思う。 こういうケースに遭遇すると、事件は会議室でも現場でもなく、私たち自身の頭の中で起こっているのだということがよくわかる。死の不可逆性、関係が…

錯誤と欺瞞は人の常

上杉隆がジャーナリストの条件として「間違いは許されるけど、嘘は一発でアウト」という意味のことを言ったか書いたかしたらしく、しかし、私なんかは「こいつ、自分の言っていることの意味わかって言ってんのかなあ」と、どす黒いニヤニヤ笑いを浮かべてし…

都市伝説

テレビ番組の影響からか、都市伝説という言葉の意味内容に拡張が起こって、陰謀論や有名人についての誤伝まで都市伝説と呼ぶようになって、kokadaさんはこの傾向をかなり嫌悪しているようなのだが、小谷野さんまでがこの「都市伝説」を使っているのをみてち…

『インシディアス』、死霊と悪魔

なかなか面白かった。家族でも見られるように出血描写を抑えたらしく、英米ではヒットしたようだが、例によって、日本ではさほど評判にならなかった。 私は『シェルター』『レギオン』も楽しんで観たくらいだから、日本と西洋の比較文化論として本作も興味深…

数秘術まがいの文芸評論

小谷野さんのブログで、こんどはじめて米光一成や川田宇一郎の名前を知った。 小谷野さんの短評をみると、どうも数字の辻褄あわせという名の知的操作に著者が没頭した「謎本」であるらしい。 私はこの手の書き物にかなり強い嫌悪感を持っていて、これはもし…

普遍についてのある種の錯誤

DVDで繰り返し見ていたら、だんだん『インセプション』が好きになってきた。 劇場で観たときの理解には、間違いもあったようで、この作品はやはり、最初は日本語吹き替えで見たほうがいいのではないかと思った。DVDには、ポルトガル語吹き替えの音声も収録さ…

普遍についてのある種の錯誤・メモ

数秘術まがいの文芸評論は、小説をなにか「普遍」という氷山の、海面につきでた一角のように思っているのではないか。 そもそも「影響を受ける」というのは、先行するクリエイター(この語は皮肉である)の要素を、馬鹿正直に引き継ぐことであるのか。 数秘…

自殺についての少数意見

ふと思い出した。むかし草野仁がワイドショーの司会をしていたことがあって、どんな行きがかりでそうなったのか、いまの私は忘れてしまっているが、スタジオの面々が自殺について考える流れとなって、人間生きてりゃつらくて自殺したくなるときがあるという…

『原発危機と「東大話法」』

立ち読み。安冨歩は、私には羽入辰郎とおなじカテゴリーに入る人という印象がある。 カルト的なものを憎むあまり自らもカルト的になってしまう人という感じなのだ。 東大的相対主義の系譜というものがあるのではないか。目立つ論者に養老孟司や橋本治がいて…

欺瞞言語と東大話法

戦後社会の最初の欺瞞は、やはり戦後憲法や天皇の扱いにあるのではないか。 安冨は『原発危機と「東大話法」』で、戦後の配給のようすを写した写真を掲げて、戦争中のマインドコントロールが解けた人々は、こんなに屈託なく笑うのだという趣旨の説明を行って…

『ハラスメントは連鎖する』

きのうの日曜日は、安冨歩の文章を読みたくて、「一冊の本」を探して新宿の紀伊国屋や高田馬場の芳林堂までさまよったが、どこも品切れだった。 「東大話法」の本もちょっと興味があったが、買うほどとは思わず。 区の図書館の本館まで足を伸ばしたがここに…

『キャプテンアメリカ』

トビー・ジョーンズとスタンリー・トゥッチという、わりに好きな俳優が出ていたので、そこそこ楽しんだのだが、オススメというほどではない。 悪役の造形が平板で、これは続編にも登場するからなのかよくわからないが決着がつかずに終わってしまうし、残虐で…

『虐殺器官』

虐殺器官とはずいぶん物騒なネーミングで、これはいったい何かと思って読み進めたら、個人的な憎しみからではなくあくまで政治的な判断として他人や他のグループを抹殺していいとの判断を促す文法が、人間には生得的にその脳に仕組まれていて、そして脳は人…