漱石雑感

(たいしたことを言ってないのであらかた削除します。へんなことをいってるとこだけちょっと残す。バカすぎなとこは見せ消ちで晒し続行)

高校生の頃、好きな女の子に告白できず、その恋情をもてあまして、それほどでもない、ちょっといいな位におもっていた女の子に告白したことがある。もちろん?ふられてしまったが。こういうのは不実というのだろうか。あきらかに臆病ではある。

「明暗」が空前なのは、主人公が途中から「女」になってしまうことである。女を描くのではなく、女になってしまうというのが凄いのだ。男が世界把握の技量を誇るために女を描くのではない。男であることに心底倦んだ漱石が突如として女に乗り移り、女の世界を逍遥しだしたことに読者は驚愕しなければならない。太宰のように短編一編のなかで女の演技を見せるのとはまた違うのである。セクシュアリティの面で、たしかに漱石は則天去私の方向へ足を踏み出している。はじめたばかりの新機軸のゆえに「明暗」は、「行人」などのようなシリアスさを欠いてはいるけれど、世界というものが本質的にシリアスさを欠いたものであると漱石が思って「明暗」を書き続けていたのだとしたら、その考えの深さに脱帽せずにはいられない。