2007-01-01から1年間の記事一覧

エクソシスト・ディレクターズカット版

旧版から疑問に思っていたことだが、悪魔がアメリカの女優の娘にとりつく意味がまったくわからないのだ。この改訂版でもその疑問は払拭されない。悪魔祓いの儀式で疲労した神父ふたりが中座して、廊下で問答を交わすのだが、「なぜあの子にとりついたのか?…

「アドレナリン」

これはたしかに面白い。「うわさの男」が流れてくるくだりは爆笑。最後も泣けるなあ…。

しょうもないツッコミ

ところが最近、YouTube という動画ポータルサイトで配信されている「視点・論点」の番組を見て、ちょっとした発見に遭遇した。http://stavrovsky.blog.ocn.ne.jp/cafe_mayakovsky/2007/12/da97_meaning_of.html あの、センセイ、そこは勝手連が著作権違反し…

「カムイ伝」に夢中

なぜこの歳まで読まずにいたのか痛恨の極み。子供のころ白土三平の「サスケ」の再放送を浴びるように見ていたので、かえって白土にたいする偏見があったのかもしれない。 「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とは、「カムイ伝」のことではないのか。 武士に…

クリストファー・ノーラン監督作「プレステージ」

深いことをやろうとして、かえって幼稚になった気がする。デビッド・ボウイの扱いなど、ちょっと映画的ではないが、あるいは原作の影響なのかもしれない。

ヒトラー「わが闘争」

「わが闘争」を読んでいて驚いたのは、ヒトラーはアーリア民族の世界征服が失敗したら滅びてもいいと、1924年の段階から思っていたらしいのだ。 だが、「文化支持的」国民の発展についてのこのスケッチの中にすでに、この地上の真の文化創始者であるアー…

ブレードランナー・ファイナルカット

見違えた。ルーカスの映画のようにいろいろいじくっているのだろうが、とりあえず、赤目を大量に増やしたことと、鳩がちゃんと雨の中を飛んでく修正はわかった。 また観に行くかも。

「「甘え」の構造」

対人関係のベースとして甘えというものがあって、それの様々なバランス状態が人間関係だという洞察は面白い。甘えという言葉がない社会で延々と甘え論をやっていたのが、フロイト以降の西洋の精神分析学会だという指摘はさらに面白い。

白と黒

新文芸座の小林佳樹特集で「首」との二本立て。 新事実がぼろぼろ発覚して殺人事件の捜査は二転三転、捜査検事の小林は国会に喚問されるまでに…。

業田良家「自虐の詩」

仕事のあいまに読んでたら泣きそうになって困った。この泣きは、いわゆる泣ける、の泣きではなくて、慟哭とか、嗚咽とか、咆哮とか、そういう種類の、いわばプライマル・スクリームの感情だ。

土居健郎は「とめてくれるなおっかさんのポスター」に言及していた

わたしが思春期をむかえたのは90年代だったから、土居健郎のこの本は、もうとっくに古臭くなった文化論というイメージがあって、しかも当時橋本治「蓮と刀」に衝撃を受けていたものだから、さらに土居の本を忌避したというのもあるのだが… しかし今回はじ…

インベージョン

まるっきり政治風刺映画になってて、SF的ギミックはとてもおざなりに触れてあるだけなのが興味深い(全米上空で爆発飛散したスペースシャトル「愛国者」号の破片に、個人を集団主義者に変貌させるウイルス様生物が潜んでいた…)。あるいはこれは監督の資質…

尻を拭く

ふと思ったんだけど、生まれてから死ぬまで、いちども自分の手で自分の尻を拭くことなく過ごした人は、いままで、どれくらいいたのだろう? まさかゼロ人だとは思わないのだ。そう思うでしょ? 何人ぐらいかなあ…。

中塚圭骸インタビュー(「コミック新現実」vol.4)

このインタビュー自体はすごい。けれども… なので、一九八〇年が元年ですから、今は一九八〇年三〇三月になります。(396ページ) 紙に書き出して確認したけど、インタビュー時期の二〇〇五年三月は、二九三月だぞ。自分で振っといたフリがなってないなん…

わたしは泣いた

大塚英志「『りぼん』のふろくと乙女ちっくの時代」をぱらぱらめくっていたら、126ページ(ちくま文庫版)の見開きのイラストを見て、不覚にも懐かしさで、泣きが入ってしまった。 こういうセンスを喪失して、わたしたちは年齢を重ねてきたのだ。

「三日月」

「ストリートシンガー」にくらべると、幼稚さを楽しもうという方向性がでていて、いかにも1980年代。

映画「ストリートシンガー」

フィルムセンターのインド映画特集。 都会で成功した流れ者の歌手が、慢心し、反省し、去っていく。 言葉も出ないくらい感動した。

ブレイブ ワン

「親切なクムジャさん」にわずかに及ばない。 教養がありそうなカップルにしては、夜の暗い公園へいったりするのが変。脚本はもっとやりようがあったろう。

まったく逆、そして正しい…

私達は江藤淳氏死すの報に接していたはずだ。それほど鋭い人物である。だが、彼は批評家だったので、死をまぬがれた。批評家は権力を指向することで自殺から救われる。逆に、権力を指向しない柄谷行人のような批評家は常に自殺と隣り合わせにいることになる…

人はなにかをせずにはいられない

へんな人を見た。 ブックオフの廉価本コーナーに、わりと大量のビジネス書があって、そこにくたびれたスーツ姿の中年サラリーマン風がいて、熱心に本を出し入れしている。 そう、出し入れしているのだ。読んでない。 それも閉店の直前、真夜中近くに。 むか…

ミリキタニの猫

良かった。それまで社会保障を拒否してホームレス生活で生き延びてきたミリキタニ氏が、アメリカ社会とほんのすこしだけ和解するのが感動的だ。アパート型の老人ホームに入居し、絵画教室の講師になり、太平洋戦争時の日系アメリカ人収容所の跡地を訪れて、…

BRICK

アメリカの高校生活を舞台にしたハードボイルド。ハードボイルドだから、ラストで主人公が心をよせた女を彼自身が裁く。なかなかうまくひねっているのだがいまいち乗れず。

自傷行為

自傷行為治療ガイド作者: B.W.ウォルシュ,松本俊彦出版社/メーカー: 金剛出版発売日: 2007/03/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 16回この商品を含むブログ (6件) を見る 不謹慎な言い方だが、自傷行為というのはものすごく興味深い。「包帯クラブ」で…

リンチを日本人はどう見たか

いまの目で「エレファントマン」を観てしまえば、メジャーに臆せず自己のセンスを盛り込んだリンチの勇気を作品に見ることができる。 当時の、それも日本人は「エレファントマン」を、どう見たのか。 冒頭のニーノ・ロータ調の音楽や、後半の見世物芸人、風…

「エレファントマン」と「マルホランド・ドライブ」

高田馬場で二本立。 「エレファントマン」は20年ぶりぐらいに見て、かえって新鮮だった。リンチは「ベルベット」以降はほぼインディーズ体制だから、古きよき撮影所の質感を感じる画面は、この作品と「デューン」しかないのだ。ジョン・ギールグッドとか、…

300(スリーハンドレッド)

なかなか面白かった。デジタル世代のジョン・ミリアスな映画。「シン・シティ」はちょっと画面がつらかったけど、こっちはちゃんと雰囲気を感じる。 わりと実物のセットも使っていて、なんだか安心した。へんな感想だが。 拳闘やサバイバルで鍛えた体じゃな…

これはものすごい…

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%83%9F%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%83%B4%E3%82%A7%E3%82%B9 ラムシュタイン関連で行ったサイト。こいつはすごい、というか「被害者」もすごい。合意のうえでこういうことをやっちゃうのか……

結婚の夜

シネマヴェーラの珍作特集で観てきたばかりなのだが、珍作どころか傑作だと思う。

デジャヴ

偶然裡に発明されたタイムマシンによって、AFT捜査官が殺人被害者を未然に救おうとする…。 去年グーグル・アースを体験したことによって、「数日前の世界を再現するシステム」というのにはリアリティを感じる。

アナタハン

孤島に打ちあげられた男たちとひとりの女。やがて女をめぐる争奪戦が始まって…という話。 半世紀前の映画だから、暴力描写は控えめだけれども、劇的状況は十分に表現されている。というよりも、最近の映画よりずっといい。