2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「ゾディアック」原作

映画とずいぶん印象が違う。 まず主人公の私生活描写がまるまるない。映画でギレンホール演じるグレイスミスのあれらのエピソードは、映画用に著者に取材したか、あるいはまったくのフィクションであるのか。 文庫のカバー折り返しに、ギレンホールとグレイ…

巨大な皮肉

チャップリンの「一人殺せば殺人者で、百万殺せば英雄だ」というのは、よく考えたら欺瞞であった。 シリアルキラーが百万人殺したところで、かれはやはり犯罪者なのだ。 「戦争英雄」は、国家の依頼によってそれを遂行したのだから、国家はそれに報いなけれ…

仕掛け

映画では作曲家なのだから、唖然とするほどの間違いではありません。 http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20070811 この場合は猫猫先生のほうが劣勢。rento氏はまさしく「映画では作曲家なのだから」というフレーズを猫猫先生の口から引き出すことを狙ってい…

ピーター・ボグダノヴィッチ「ハリウッド・インプレッション」(フィルムアート社)

彼は初期の映画オタクとして、ソダーバーグやタランティーノの先輩にあたる。この本では、斜陽を迎えた60年代ハリウッドや、ジェリー・ルイス(ブームマイクを異様に嫌った)やケイリー・グラントへのインタビュー、政治的でなく好奇心からのニクソンとの…

ジョン・フォード「真珠湾攻撃」

真珠湾攻撃の前後を、記録映像のモンタージュや特撮映像で描いている。当時の日本にここまで客観的かつフェアで、そしてなにより多弁な映画をつくる能力があるわけがなく、ひたすら感嘆の思いで見る。

消えた天使

「セブン」のふたりの刑事のうち、モーガン・フリーマンのほうがおかしくなってしまったら…、みたいな話。性犯罪者を監視する自治体職員が、仕事にのめり込んだ挙句、銃は携帯するわ、誘拐事件の捜査まではじめてしまうわ…。アメリカの性犯罪者監視行政は、…

未必の…

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070808-00000005-mai-soci <栃木・容疑者自殺>弁護士は自殺の意思把握 県警に伝えず 8月8日3時1分配信 毎日新聞 栃木県さくら市の保険金目的の殺人事件で、妻殺害容疑で再逮捕された自動車修理販売業、小林広容疑者(…

『殺人者はライフルを持っている!』

とても面白い。興奮した。映画が、知的な綾をそなえている。この作品の原題は「ターゲッツ」。劇中に即して訳すと「各種標的」というところだろうか。引退を決意する老俳優と、家族を手にかけたのち無差別殺人に走った狙撃犯との人生が交錯する顛末。現実を…