コマの組み方

長く積読にしていた「ゴー宣 沖縄論」を読んだ。「戦争論」などと印象が違うので、その理由を考えていたのだが、その一つには、ページにおけるコマの組み方があるのではないか。

パラパラマンガの要領で「沖縄論」をザーッとめくると、本の中央に、上下を分ける枠線がずっと同じ位置に遍在しているのがわかるだろう。気付かなかった人は、やってみると、ちょっと感動するはず(しないか?)。

本棚から「戦争論」を出してきて比べたのだが、戦争論は基本が四段で、ページによってわりと自由に段組を変更している。

要するに「戦争論」は横長のコマが多く、「沖縄論」はそれにくらべて縦長のコマが増えている。

「ゴー宣」の連載のどこかで、作者本人が書いていたけれども、感情や情緒を伝えるのか、情報を伝えるのかで描き振りを変えているのだろう。

戦争論」と「沖縄論」では相当違う。戦争論ではどこかの空間(「宇宙刑事ギャバン」の「マクー空間」のような)に、作者が遍在していて、戦争の歴史を随時呼び出しながらアジる体裁になっているが、「沖縄論」では、そのような「マクー空間」はほぼ無くなって、作者は書斎や、仕事場や、飛行機の機内や、沖縄にいながら、考えるべき主題について考えているのである。好き嫌いで言ったら、私は、「沖縄論」のほうが好きだ。小林に限らず、「マクー空間」で考える著述家が多すぎるのである。