一次元の蟻

この比喩を誰が言いはじめたのかしらないが(例によって調べてないというだけの話)、これも方便と現実を混同した議論にすぎないと思うのだ。

だいたい三次元空間だって方便でしかないのだ。現実空間とかぎりなく近いというだけの話だ。巨大な重力があれば空間は歪むのだから。

石にぶつかったら蟻は進行できない? 石くらい上るだろう。壁くらい上るだろう。蟻が後ずさりできるかどうか知らないが、後退することだってマイナスの進行ではないか。いや、一次元の蟻は進行できないんだよ、と強弁されても、私は、その仮定が当を失しているだけなんだと、すげなく答えるのみである。


一次元のビームというのはどうだろう。ビームは直進しかしないが、重力の影響でいろいろ曲がっている。しかしビーム自身は直進していると思っているのだ。