『宇宙人東京に現わる』

テレビ黎明期の特撮映画、というわけで、つまりテレビ的演出などなかった、もっといえばテレビなんて映画は歯牙にもかけなかったころの(というのは言いすぎかな。昭和31年公開)作品。

寄りの絵が欲しいなというところでも(たとえばエンディングの集合シーン)、ロングのままでいってしまって、つまり、「寄ってしまえばもっと分かりやすいのに」という発想がなかった、あるいは余分に感じられた時代の作品、ということなのだ。

子どもがたくさん出てくるけど(登場人物の一人が保母)、その子どもの一人ひとりにキャラ付けがされるということはない。これ、新鮮だった。つまり十把一絡げに「子等」なのである。60年代に入ったら、日本のSF映画は完全に子供向けのものになってしまうから、子供はみんな個々にキャラクター設定を与えられるようになるのであった。

怪星Rが爆発するときの、博士の、「えぐひゃー」みたいな、なんとも文字におこしづらい呻きが、ちょっとマジな演技に感じて面白かった。というか笑ってしまった。