木村荘太「牽引」

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20090723
花袋のような滑稽味がない直球の恋愛小説。おもわず感動した。キリスト教倫理に恋愛が結びついているので異様な感じも否めない。このとき木村や辻は三十前で、伊藤野枝にいたっては十七か八なのだ…。この世代は青年期ないしは幼児期に日清日露戦争をやり過ごしている。理想主義を奉じる理由の一つではあるだろう。花袋が従軍記者をやったのと対照的である。