「天皇の煙草」をめぐって

天皇制」と「嫌煙」との二者択一を迫る厭味小説ってのが
すでにして、両者をファシズムでくくる先生の中でしか通用しない
ヒステリー的代物ですからねぇ
http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1246491353/542

二者択一かなあ。とはいえ個人の中でしか通用しない感性を表出するのは創作の常道ではないかと思います。

それほどこの小説を持ち上げる気はないですけど、説明なしにいきなりライフルを出してきたあたりに私は面白さを感じました。またビデオドロームと比較すると、あの映画の主人公は秘密結社に立ち向かう必然性がなかったんじゃないかな。ビデオの教授に洗脳されたんだっけ? 煙草の主人公もとくに思想があって反抗しているわけじゃなくて、不倫の経験が逸脱のきっかけになるあたりはビデオドロームっぽい。

朝目新聞論説委員殺害も客観的にいえば私刑だけど主人公の主観からすれば死刑。天誅だから。その論理が外部に通用しないのがわかっているから、主人公は論説委員の遺族と天皇に謝罪文を書く。法に則ってない殺人は天皇にたいする不忠でもあるから。(死刑ってのも小谷野主題群のひとつでしょう?)

(ところで小林よしのりの『天皇論』には徳富蘇峰天皇文字の上を一字空けにしたことは載ってるけれど、小谷野さんは「陛下 」と文字の下を空けてる)

おそらくこのニュースを聞けば、禁煙ファシストどもは快哉を叫ぶだろう。二・二六事件青年将校たちに共感を覚えた者たちのように、である。(「さらば東京大学」)

小谷野さんは現実に狙い撃ちされたんですよ。とほほ。