殺意のふたつのかたち

そういえば憎しみによらない殺意というものもあった。
ダーウィンを読んでいて気がついたのだ。
ある個体が占めている場所を利用したいと別の個体が思う。
排除すると逆襲されるから、ならば初めから殺してしまえばいい。
ただただ、なんの恨みがなくても、動物やヒトは他の動物やヒトに殺意をもつことがある。
これにたいして、しかし、なるべくなら人情や道徳で調停をすましたいのが、人の論理における経済観念だから、
戦争による大量殺戮などを「何の恨みがあって」と非難するのだ。
しかし、そしてもちろん、殺す側に恨みなどない。命令されたから、あるいは邪魔だったから
油断していると襲われる可能性も考えられるから、殺しておくだけなのだ。
生存闘争がないような土地で、ある生き物が繁殖し出したら、
養える限界までその生物は増殖する。
そうしたら、生存闘争のプロセスが開始されるわけだ。
つまり、地球が有限である以上、生存闘争がないなんてことはありえない。