20世紀の資本主義

普遍としての資本主義があって、それが19世紀を20世紀をいかに閲(けみ)したか、という話ではないのであった。20世紀の資本主義は、19世紀の資本主義の次の100年の資本主義として固有の価値をもっていた。19世紀の資本主義は21世紀の資本主義にも固有の価値を発揮するだろう。

 資本主義だけが虚空にぽつんと浮かんでいるわけではないのであった。あるいは27世紀あたりの資本主義は、そのような空虚なものであるのかもしれない。しかし、ここ数百年の資本主義はそれまで地上に存在しなかった資本という概念(神、王権、財宝という概念はあった)を生き延びさせるための近代的な、思想の戦争を戦った。資本がなくても暴力で他人を支配すればいいと夢想する「前近代的」愚か者は、いまでも(どのいまが本物…)いくらでもいる。