ヤマト童貞も破る

この漫画版がとうとう私のはじめてのヤマト体験ということになる。なるほど、イスカンダル星へ空気清浄機をとりにいく話なのね…。ガミラス星にボロボロにされる地球は「終戦まぎわの日本」のことなんじゃないのと思う(「地球」側の乗組員が日本人とロボットなのだ)。コスモクリーナーDのDはデトックスのDなのだろうが、デモクラシーのDだったりして。まあ時代的には公害のことを指しているのだろうけれど。

乗組員たちのコスチュームは、グループサウンズからアイドルコーラスグループあたりの歌手たちの衣装のようだ。あるいは『燃えよドラゴン』のトラックスーツとか。広々とした司令室のデザインも、ディスコっぽいというか歌番組のスタジオセットのようだ。

松本零士の憤懣もわかる気がする。西崎義展は、興がのってきてアニメ制作へより深く介入してきた松本をセーブする道義的義務があったろうなあと思うのだ。それをしてればこんなに話はこじれなかった。恋愛のようなものだろう。私たちは松本の絵でヤマトをイメージしてしまうし、それを松本流の表現で言えば「私がいなかったら、作品の1コマも存在しない」ということになる。アニメは最終的には絵として表出されるのだから。アニメ劇場版を宣伝するのにファンの草の根活動を利用したあたりにも、西崎の人たらしの才能がうかがえる。