『人斬り』

あまり時代劇にくわしくないので先達にたずねたい気もするが、磔で、ちゃんと執行人が受刑者の体を槍でぶすぶすと刺す描写を行っているのって、珍しいのではないか。失血死させる、しかも苦悶の時間を受刑者に与えることが目的の刑罰なのだが(実際にはさっくりと止めをさしていたかもしれないが)、時代劇でよくあるのは、磔刑台に縛り付けられたところまでなのだ(私は幕末の磔刑死体の写真をみたことがある)。この映画は、そこのところをわりあいはっきり描いていてよい。

 三島の切腹シーンめあてで見たのだが、それはあっさりしていた。肩の筋肉がぴくぴくうごいていて、ちょっと珍な光景だ。どういう経緯でこの映画にでたのだろう。さすがに芝居は浮いてる。案外『憂国』を見た監督かプロデューサーあたりからの指名なのか。