『祝辞』

昭和が終わるまでに4年(正味3年ちょっと)をのこした1985年の作品。結婚を間近に控えた専務の息子を部下にもつ係長(財津一郎)が、披露宴でのスピーチを専務から頼まれる。慣れない祝辞を考えるのに四苦八苦する係長の話。演じること、他人の目を気にしながら言葉を発することに興味がわいているので、今の関心にピッタリの映画だった。財津は芝居に夢中になってフリーター生活を送る息子(山口良一)を勘当していたりするのだから、脚本家も分かってらっしゃるというものである。じゃがいものエピソードは、芥川の芋粥をもじったものか。