組織
橋本治が『宗教なんかこわくない!』かなにかで、麻原を免罪して実行犯だけを極刑にすればいいと、これは冗談まじりなのだろうが、そういうことを書いていて、なるほどなあと思ったことがある。
しかしこれはよく考えたら、自営業の、それも少人数の組織でしか働いたことのない人間にしか思いつかない発想であって、それを読んだ私も当時は無責任な学生だった。
麻原が死刑にならないのも、これも日本国は自然に死ぬのを待っているのだろう。事業をするのって、組織でことを起こすのって、難しい。昭和天皇がフセイン並に速やかに死刑になってしまっていたら、その後の日本の歴史はいままでのそれとはちがったかもしれない。日本の共産勢力も、粛正が頻繁に行われて、かえって慎重な行動をとったかもしれないのだ。共産党がここまで大きな組織になることはなかったかもしれない。
「大日本帝國」だって一枚岩ではなかったのだ、なんてな。一枚岩ではないというフレーズを、ある人から聞いて、私は笑ったばかりなのだ。括弧内には好きな組織名を入れてください。一枚岩の組織が、過去にひとつでも存在したのかよ。願望が客観のふりしてる。