問題は宗教ではなかった

人は、生きる意味ではなく、信念をもつ意味こそを、じつは問わなければならなかった。現代人は信念というものの不定形さ、不気味さに直面することを忌避して、この半世紀、あるいは二十世紀まるごとを宗教批判にかまけていたのだろう。科学批判もまた、人が信念批判を怠けるための口実にすぎなかったのだ。ロバート・ゼメキスの『コンタクト』と『キャスト・アウェイ』が奇妙な対となって観客に語りかける。ノイズまみれの喧噪にとりまかれた信念と、まったくの孤独を生き抜くための信念。