あはは

http://blog.goo.ne.jp/ikagenki/e/32e32ed81e4c88dd3ae573dc6aca23ec
私も『もてない男』のあとがきのノンシャランスに惚れた口なので、いかさんの「不満のようなもの」はよくわかる。「実際の」小谷野さんは、あのようではないらしい。

とはいえ、作家が自己をミスティフィケーションすることは許される範囲内なのではないか。まさしく有限責任というやつで、読者が本の値段分だけ損をした(芸を感じ取れなかった場合のみ)と割り切ればいい。それよりも、匿名のブロガーが、実在の人物を「ダメ人間」と表現するほうに、すくなくとも私は抵抗がある。

いかさんので面白かったのは、小谷野さんが引用した平川祐弘粕谷一希の対談をちょっと長めに引用したこと(小谷野さんは藤原書店のPR誌まで誰も追跡しないと思ったのだろう)。でも、小谷野さんが平川さんに仲人を頼んだのは、たしか本人ブログでもちらっと言及していたと思うけれど。

あとこれは小谷野さんと関係ないけど、いかさんが紹介していた自身の江藤淳の記事を読んで、江藤は小林信彦にずいぶん似て(見えるところがあ)るなあと思った。世代ということなのか、親の世代が勝手に戦争をはじめて勇ましいことを言っていたのに負けやがって、というような「怒り」。

すこしは小谷野さんの側にたったことも書いておくと、『母子寮前』の執筆動機についてのいかさんの意見はうがちすぎもいいところで、母親をなくした衝撃が小谷野さんに小説を書かせたのは明瞭なのに、いかさんがなぜこのことを見過ごすのかという疑問が私にうかび、いかさん自身の経歴になにがあったのかの興味へと私をいざなう。精神分析のじかんがはじまるよ。