聞けば使える

知り合いに面白い人がいて、はじめて聞いた言葉を意味を調べることなくすぐに使いたがるのである。だからしばしば使い方を間違う。あまり本は読まないらしい。音として言葉を知ったら、それはすぐに使えると思っているらしいのである。そしてたしかにそういう言語の運用法はなくもないよな、と思う。その言葉のニュアンスは、その言葉を聞いた時に相手の口調から察するわけであるから。

いまは高度情報化社会でいろいろ専門が分化しているから、かえって他人の話に調子をあわせるだけで、内容を理解しないまま受け流す人が増えた。また、困ったことに、自分の知識を衒うことに夢中になって、相手が理解しているかどうかを気にしない話し手も多いのである。

私は不躾な人間だから、知らないことは知らないといって、話の流れを平然と断ち切ってしまうし(逆のパターンで「この話題について知らないなら、この先はやめておこう」と相手にいうこともある)、その人が知らないことについて教えるときは、下げていくべき相手のレベルを探るのが楽しいのである。