2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

リトル・ピープル

リンチの『マルホランド・ドライブ』に、(一見すると現実ふうだが実は)夢のシーンにおいて、ナオミ・ワッツを空港に送る伯父夫婦?が、悪夢のシーンで不気味な小人として画面に再登場する。『1Q84』のリトル・ピープルは、あれを思い出すのだ。

にっぽんじんのめんたりてぃ

みんな律儀にYouTubeと書くけど、UNIQLOは平気でユニクロと書く。なんでだろ。私はユーチューブもカタカナ表記するけど…。

現代には人が担いかつ縋るべき役割が、ない

『アフターダーク』は恐るべき傑作であった。おとといの夜は早稲田のユニクロのとなりのマクドナルドで一晩中『1Q84』を読んでいたのだが、そのことを想起したりもして。右翼が村上春樹を嫌うのはわかるのである。村上は、役割、ロールの無効を宣言している…

村上春樹が戦っている思想上の敵たち

けっこう馬鹿にならんよ、ほんまに。

『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』

『ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲』 わりと面白かった。四角い仁鶴が丸くおさめまっせ。わかりやすく『時計じかけのオレンジ』が言及されていたが、そういえばあれも善悪の分離についての物語だったなあ(そして何たる偶然、いま読んでる『魂の殺害者』と…

静かに行われた反動

魂の殺害者―教育における愛という名の迫害作者: モートンシャッツマン,Morton Schatzman,岸田秀出版社/メーカー: 草思社発売日: 1994/09/01メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 11回この商品を含むブログ (1件) を見るシュレーバーの父親がいかに狂っていた…

ストロングな半病人

私にとっては村上春樹って「ストロングな半病人」だ。日本社会の大勢から退避したところから社会を描こう、描こうとばかりしている。その情熱がよくわからない(欧米文化という夢こそ現実だ、とか?)。橋本治とはまた別種の「登校拒否児」だと思う。江戸(…

『1973年のピンボール』

この小説ではじめて作者は自分が作家になる可能性を考えたのじゃないかと思う。 なんの根拠もない憶測だけどね。読んだ印象から。 字面が前作と違って、ちゃんとした小説っぽいんだもの。 前作のDJブースのシーンにおける夥しい空白は、あんまり専業作家が…

『村上春樹の隣には三島由紀夫がいつもいる。』

あまり聞かない話がタイトルになっていたので手にとってみたが、どうも納得させられなかった。初期作品に三島への参照項が紛れ込んでいたり、『ノルウェイの森』が『春の雪』の換骨奪胎だというのだが、果たしてそうだろうか? もし、その推測が本当だとして…

私の春樹歴

学生の頃『ねじまき鳥』を文庫で読んだ。数年前『風』『ピンボール』『羊』『森』『ダンス』をなかば仕事で読んだ。で今度の『1Q84』。『カフカ』『アフターダーク』は未読だが、この際だからすぐに読むつもり。『世界の終わり』は読まないだろう。読んで面…

現代の徴税人(『1Q84』)

そういえば確かに「エネーチケー」の集金人って、現代の徴税人だ。

諸行無常

『1Q84』

村上春樹はずっと「失ったものは取り戻せるのか」ということをテーマにしているんだなあ、と思った。子供がいるって話も聞かないし、この作家が内に飼うデーモンは、たとえば東浩紀などには太刀打ちできないだろう…。面白いっす。そういえば、生まれた段階で…

漫画家と虐待

つげ義春全集 (別巻)作者: つげ義春出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 1994/06メディア: 単行本 クリック: 1回この商品を含むブログ (6件) を見るこれまでつげの伝記には興味を持たずにその作品だけを愛読していたが、その生い立ちの不幸なことにいまさらな…

SFという言葉を使わずにSFを語るには

怪奇幻想、道徳の逆転、万能の支配者が実在した、技術の進歩、…。なにしろフィクションだから、ある程度までは読者に心地よい物語を提供しなければならない。悲劇でも構わないわけだが。たまごっちやAIBOを対象にしたペットロスの物語などは、あるいは現代的…

80年代以降のSF

西側諸国は、政治が安定しはじめ、テレビ文化も安定期に入り、経済もほぼ安定して急激な成長や衰退を来さないようになるなりして、文学もまた、文学でない感じを漂わすことで読者消費者にアピールするようになった。ジジェクの言う「カフェイン抜きのコーヒ…

ポップな英雄と大量死、父の虐待

あらゆるものを大衆化せんと欲した西洋20世紀は、大量の小英雄を発生させ、彼らが華々しく死んだ世紀であった。19世紀以前の、低い身分の家庭における男親、英雄とは似ても似つかない父親たちは、子供に暴力を振るうことはあっても偉そうに説教することはま…

『夜よ、こんにちは』

一人の人間に対する生殺与奪の全的な権利を手中にすることで、はじめてその女は自己というものを十全に感得するに至った。それまで退屈であったはずの風景が一変して見える。そして自由な自我を獲得したが故に、女には幻覚が訪れはじめる。マルクス主義に自…

鮮烈な印象の夢

あまりにも強烈なのですぐに覚醒してしまった。雨上がりのグラウンドに陽光が降り注ぐなかで、私はもう一人の私と格闘している。それまでもう一人の私は、私を誘惑し、私が私の人生を迷う様を笑って眺めていたのだ。はじめて私はもう一人の私に対し、勇気を…