笑い方

じつは抑えて書いていたのだが、六月あたまに行ったトンデモ本大賞で居合わせた「笑う観客」というのは、ちょっと変わっていたのである。

舞台上で演者がする前ふりにいちいち反応して、「え? え?」と言うのである。これがうざいというか、不気味だった。「え? え? …あはははは!」「え? え? …あはははは!」「え? え? …あはははは!」ずっとこうだったのである。最初カウントしてやろうとおもって数えていたが、これが普通なんだとおもってあきらめた。

私も当人に注意しなかったので私が非難するいわれはないわけだが、勉強になったなあと思うわけだ。

心と体の不思議な関係。思っているだけだったら私に変な人だと思われなかった。「え? え?」という当惑を声に出そうと、その人はある日思ってしまったのだろう。生きていくために。

西園寺公望

西園寺は留学時代にパリコミューンを目撃して不快に思ったらしい。まあ西園寺の生まれからして当然だろうとは思う。正式な結婚をしなかったことに興味をひかれるが、とくにこの本でもつっこんだ考察があるわけではない。二十代のあいだ十年近くずっとパリ暮らしだったというのだからいろいろ想像してしまう。鼻血を押さえて勉強にはげんだというのだが。

山県有朋などがなぜ政党を嫌ったのか、そのニュアンスがだんだんつかめてきた。軍部や政党というのは、拡大するしかないものなのかもしれない。世界最終戦争をとなえた石原莞爾などは、山県あたりがもっと長生きしていれば、何をいっているのかさっぱりわからない未来人にみえただろうな。
古希からの挑戦 元老西園寺公望 (文春新書)