伊丹十三の話
- 作者: 切通理作
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2001/01
- メディア: 単行本
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なんというか、わたしの二十代は、サブカルチャーに興味を持とうと努力して、結局疎外感しか味わえなかった十年間だった、と総括できるかもしれない。
ギャップを飛び越えて、サブカルチャーの側へ渡らなければ…。というオブセッションがあった、とたしかに感じる。
エヴァとか、富野由悠季とか、いちおうがんばったが、どうしてものめり込めないのだ。柳美里や大江健三郎については、すんなり、水が砂にしみこむように理解できるのに。
伊丹十三の話など、「電波男」の先蹤ではないか。丸山真男「日本の思想」で印象に残ったこととダブるのだが、いたずらに寛容な日本社会は、伊丹の発言を無限抱擁して、ただ一点、伊丹の思想は拒否した。「不倫なんかで自殺なんて」という根強い感想は、日本社会の総意なのだ。