鳥かサイコか

「鳥」をはじめてちゃんと観た。面白かった。終わりかたが、暗転したまま「END」の文字を出さずに配給のロゴに移ってしまうのが、いい。

なにしろ「サイコ」は、とうにオチが人口に膾炙したあとで、わたしが生まれたものだから、観てもなにも驚くことがないのだ。当時の観客の気持ちがわからない。安達が原の鬼婆の正体が、いじけた現代青年だった…。どのへんがショックだったのだろう。

ひるがえって「鳥」は、今観てもおもしろい。レストランで「この女が原因なのよ!」と取り乱しつつ「正解」を出し、ミッチに頬を張られるおばさんは、あれは観客であり、作者でもある。