久坂部羊「無痛」

無痛

無痛

マッドサイエンティストが創造した強化人間が、常人には想像も及ばないような残虐にして強力な殺人能力を発揮する。かれの「仕様上」、殺人行為中は、心神喪失状態になるのであった・・・。

刑法三十九条、精神疾患詐病と犯罪、自己中心性とストーカー、精神障害児と福祉、医療の限界、ロンブローゾ復権、と盛り込みに盛り込んだミステリー小説。

病的に自己中心的な(しかし本当に病気ではないところが小説の眼目なのだが)ストーカーの描写が圧巻。焼酎プリンの発想に悶絶。こいつがヒロインを陥れて悩ませ、作者から成敗されるのだが、あまりにも「問題外科」すぎて、快哉を叫ぶどころか、読者の私は言葉を失ってしまうのだった。

大傑作、だと思うのだが・・・。主人公がストーカーを撃退する手並みは、私、こちらのほうは溜飲を下げたのだ。