「ホームズは実在する!」あるいは「神を妄想することは不可避に近い」

キャサリンヒースクリフが実際に存在しなかったことを完璧によく理解していながら、どうして『嵐が丘』を楽しむことができるのかと言っているようなものだろうに。(『神は妄想である』131ページ)

シャーロキアンの国の人とも思えない発言だ。シャーロック・ホームズが実在の人物ではないことなど私は承知しているが(しかし、この世にはかつて、露口茂とジェレミー・ブレットという素晴らしい人たちが実在した!)、とはいえその存在を信じてベーカー街にファンレターを出すほどの人たちの方が、私などよりはるかにホームズ物語を楽しんでいるであろうことは疑い得ない。