カセットオーディオのおもいで

恥さらしのついでに、カセットオーディオの思い出も書いておこう。

たしか最初に買ってもらったのはTEAC製の白い再生専用機で、まあ廉価なもので、パッケージングもそっけなかったので、「なにこれ、だっせ〜な」と思いつつ我慢していた記憶がある。まったく、私は貧乏な家の子だったくせに精神だけはバブル時代の申し子だったわけだ!

しかも、何を聴いたらいいのかよくわからなかったので、父親の落語のエアチェックコレクションを聴いていた!

つまり、ウォークマンを聴くという「カッコ」を演じたかったのだ。静謐な空間の中でウォークマンを聴くサルのコマーシャルが当時あったけれど、本気で私はサルのまねをしようとしていたのだね。なんということだ! 私はサルを羨ましがっていたんだ!!!

で、カセットオーディオにふれてまず驚いたのが再生ノイズがすることだった。イヤホンで聴くと特に気になったのだ。テープメディアではあたりまえのことなんだけど、しかし、私はこれがいやで、親にノイズ除去機能がついている再生機を買ってくれとせがんだのである。

要するにカセットオーディオで音楽を聴く層は、だいたいがロックやポップスを聴くので、かれらはあまりノイズを気にしなかったのである。しかし、落語のエアチェックをイヤホンで聴く私は、サーサーいうのがいやでいやでしょうがなかったわけ。

私は幼少期から多数派になろうとして失敗する少数派だったのだなあ…。