堂々の大人宣言
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を見た。
第3東京市の描写が厚くなっていて楽しい。汐留のビル群が自在に可動する妄想がきざしたりもした。というか、そう妄想させるように作ってる…。
「こういうときどうしたらいいかわからないの」「笑ったらいいと思うよ」…そういえば、もう10年以上も前に庵野秀明は答えを出していたんだなあ、と感慨しきり…。
君主抜きの国家観。なんだ、石原慎太郎も庵野秀明も、同じことを言ってるんじゃないか。特攻隊は間違いだと思っていて、碇シンジ君には感情移入する世の観客たちのちぐはぐさよ。
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』と『俺は、君のためにこそ死ににいく』が同じ年に公開された偶然についていろいろと思ってしまう。
なぜ戦争に行くのか。なぜエヴァに乗るのか。ぶっちゃけ資本を回転させるためっしょ、としか思えないが、クリエーターたちは違うことを「信じている」。ヤシマ作戦のクライマックスで、監督が、碇ゲンドウが碇シンジの更迭を命令したのに反対した葛城ミサトに「私はシンジ君を信じます」と叫ばせているのを聞いて、私はちょっと驚いた、というか、旧シリーズになかったこのセリフは、これ、庵野秀明の堂々の大人宣言じゃないの。
私はまだまだ他人から信じられたくないんですけど…。