もし世界が八百長だったら、そこで生きる意味はないか? 『スピード・レーサー』

ほめてる人がわりといるので、目黒で見てみた。たしかに面白い。

カラフルで子どもっぽい演出にしているのに、企業間の暗闘などがテーマなので、いまいち受けなかったのは想像できる。マトリックス的な格闘シーンは、これはきっとジョエル・シルバーの厳命によるのだろうな…。

もしも世界が八百長でできているのであったら、それをぶちこわせ…というのが、『マトリックス』の少なくとも一作目のテーマであったのだが、『スピード・レーサー』のほうは「世界が八百長で出来ているのであったら、それを改善しろ。しかしどのみちおまえの人生の質に世界は何の関係もない」とでもまとめられるものになっていて、ウォシャウスキー兄弟、今作では後退してるじゃねえかと思うのだが、まあこの『スピード・レーサー』にも嘘はない。落書きしている子どもが空想の世界に猛スピードで突入していくシーンなど、2重の意味でヤバいのである。

やたらな日本賛美がこそばゆい。