『島耕作』を読んでいておもったのは、手塚治虫のセックス観のことである。
『島耕作』のセックス表現は、わりと素朴なというか真面目なというか、ポルノ的になりそうでならない線を狙っていて、かえって私のような妄想過多の独身者は勉強になったというか、そんな気がしたのである。
ポルノ的なマンガと、手塚的なセックス表現と、『島耕作』的セックス表現と、それぞれあるという気がするのだ。勃起しなくて気落ちする島の裸の背中は不気味なほどにリアルなのである。
手塚的なセックス観には正常と変態との境目がないが、島耕作のセックスは正常と変態との境界がはっきり引かれている世界の営みなのである…。
