70年代のいろいろ

シネマヴェーラでロマンポルノ特集をやっているので、いろいろ見る。

70年代は、あたりまえだが60年代と80年代をブリッジしているので、70年代に作られたロマンポルノを見ると、60年代の余韻と80年代の起源をそれぞれ覗けて面白いのである。

もうすぐ80年代という時期に公開された『十八歳、海へ』は、60年代が過ぎたばかりの時期に公開された『八月の濡れた砂』の監督による作品だが、主演の小林薫がバイトするホテルが、実在のホテルサンルートでロケをしていて、つい『濡れた砂』のセットの洋館と比較してしまうのである。60年代と80年代との比較が、70年代の映画によってなされているようで面白い。

一方、『妻たち性体験 夫の目の前で、今…』と『縄と乳房』を見ると、小沼監督は社会風俗に興味がない感じが歴然としていて、これもまた面白いと思うのである。要するに超歴史的存在なのである。

ロマンポルノがAVに潰されたというのは象徴的で、60年代、70年代、80年代のようには、90年代、00年代は語れないということなのだ。90年代からは、日本文化は即物的な時代に入ってしまったというか…。80年代までに出ていたものを組み合わせて、いちいち「再発見」するしかないというか…。