『文学概論』

ブックオフにあったので最初のページだけ立ち読みしたが、あの吉田文体だけれども、いちおう適切に(?)読点をふってある。この本が1960年頃出たらしいから、もうすこししてから吉田は読点の削除にふみきったのだろう。文体はこのころから「変わっていない」。

読点のありなしを文体に含めるのは、そもそもお門違いなんじゃないか。そんなことは記号の使い方にすぎなくて、それこそ吉田の言うとおり、文体とは、言葉の遣い方、選び方、それだけがすべてではないか。読者が適宜区切りながら読めばいい話である。

変と言えば谷崎の「春琴抄」の文体も、半可通は「変」というかもしれないが、実際に読んでみると、どこらへんで区切ればいいか、なんなくわかる。


文学概論 (講談社文芸文庫)

文学概論 (講談社文芸文庫)