『ウォッチメン』

エリートこそ世界を必要としているのだ。下層民は、世界ではなく現実に対峙する。成り上がりは、手早く世界を知りたくてウズウズしている。つまらない世界のからくりである。「神」が死んで、もう百年たつのだから、「世界」も「指導者」もそろそろ死んでいい。そういえば、劇中のニクソンが、「あとは神にまかせる」といって隣席の高官がニヤリとしていた。20世紀は、じゅうぶん神が生きながらえていた世紀だったのだ。嗚呼。