みっともないという意味の「情けない」

小谷野さんが「我ながら情けない」と書いていて、ふと思ったのだが、なんでみっともないという意味で「情けない」と言うのだろう?

かわいそうな状態を見聞きするとこちらの気分が悪くなることから転じて、対象の方を「気の毒」と表現しているように、みっともない状態にあるひとを見て、しかし同情心がわかないことを「情けない」と表現してるのかな?

「気の毒」というのなんか、状況を判断する側の気分を状況にたいする形容につかっているわけで、部分が全体を飲み込んでいるような気持ちの悪さを感じるのだ。「お気の毒」なんて「お」をつけるに至ってはなおさら変で、あんた自分の気分に接頭辞をつけてることわかってんのか? と。

うかつな話だが、みっともないというのも見た目が悪いということで(見る方の目が悪くなる、目が腐ると言っているわけだ)、主客が混ざりあっているのだった。やまとことばで価値判断をともなう形容詞は、あるいはみんなそうなのか?