共同体主義の利点

私は樋口一葉滝廉太郎がバージンだったかどうかには関心がないが、養老先生がなぜあんなに性に関するコメントを抑圧するのか、まえから不思議に思っていた。小説読んでていらぬ性描写が出てくるととばすとか、中国語圏で宿をとると「要 不要」とかかれた紙をわたされるから、不要のほうに丸を書いてかえすとか、なぜかしらないけど、先生はいちいち書き残すのである。

前掲の『逆さメガネ』を読んでいて、ちょっと理由が思い浮かんだのだが(子供が自然であることを述べるこの本にはセックスのセの字も載ってない)、ようするに共同体主義だとセックスが視界からはずれるのだなと思ったわけである。夜ばいについていろいろ発言した赤松啓介は、「(共産)主義者」だったことをふと思い出す。

先生が「さずかりもの」というのには、いまどきちょっととまどってしまったが、たしかに、俺が死んだってそこらのだれかが子供の面倒をみてくれるだろうと思っていたら、なんの憂いもなしにイジャキュレートできるというものだ。共同体主義の利点というのは、これか。