『狼の紋章』

太陽と月で、月が狼族のよりどころだからか、敵の象徴として日の丸が扱われ、それがイメージの連鎖をたすけて、敵役の松田優作が学ランか軍隊式の礼服あるいは褌一本のコスチュームで登場し、主役の狼男志垣太郎はジージャンとジーパンのまま。

主人公は、変身体でも「人の」意識は残っていて、すでに変身しているのに「オモチャのお面だよ」といって、驚く相手を安心させるのがちょっと面白い。

なんだか東映の女囚さそりのシリーズみたいで、レイプシーンのあと職員会議のシーンになって、警察へ通報しようとする教師たちをなだめて校長が「こんなことは年に数回はあることだから」と口走るところは、私も驚いたし、観客のいくたりかは失笑していた。学生運動が収束して、校内暴力の時代になるちょうど境目の時期の映画。

松田が志垣の背中に刀で「犬」の字を刻むのだが、ここは『北斗の拳』を連想した。映画(原作はマンガ)とマンガの間に十年近くあるから、影響とまではいえないか?