井上章一『日本に古代はあったのか』

グーグルのブック検索にあった。

 とりあえず現在があることを認めないバカはいないだろうと思うのだ。この時点で現在と過去がある。その過去の区分をどうするかで、いろいろ人によって食い違いがあるということなのだろう。歴史に古代を認めないというのは突飛に感じる。小谷野さんもいうとおり、近世の区分の方が古代よりも難しい気がする。近世も近代も、英語だとモダンエイジだし。

 現在の自分たちからあまりにも遠く感じるのが古代で、そして自分たちが現代で、その中間が中世。日本の場合は武士の時代がまるまる中世で、江戸時代以降は近世という色をつけておこうかなという理解だろう。多くの人がそう考えていると思う。

 平安時代飛鳥時代が古代でひとくくりというのは、たしかに違和感を感じないでもない。王政復古した明治時代に平安時代的に感じないでもない華族制度をもうけたことも影響しているだろう。

 中国の歴史など、王朝がかわるたびに支配民族も変わっているのだから、古代中世近代の区分がいろいろ出てもしかたないのではないか。どこかに同一性を決めておかないと、分割する意味もないだろう。