『さまよう刃』(映画)

なかなか面白かった。

老年者の苦悶や諦念を、青壮年の者たちは、結局のところ理解できない。そういう話なのかとおもった。じつは、寺尾聡こそが、システムを、いちばん使いたいように使ったし(自宅の留守番電話の伝言を携帯電話に転送するのなんて、俺、すぐには出来んぞ…)、竹之内豊の同情から自由だった。竹之内の配慮(レイプ犯の居所を寺尾に教える、という、多分違法行為)は、空回りしたわけだ。

伊東四朗が、つめたいようでいて、いちばん寺尾を理解していた。老年者が老年者を気遣って、介錯してあげる。そういう映画だとおもったのである。