野口雨情

野口雨情―詩と人と時代

野口雨情―詩と人と時代

 ざっと眺めただけなのだが、面白い。青年期に社会主義に関わったがシンパどまりで(日露戦争のころ)、家を継ぐために帰郷した(これでは左翼になりきれないだろう)のだが文学の夢を捨てきれずにいて、このころはまだ詩人で、童謡を書いていない。北海道行きは失意の放浪という側面もあったらしい。数え28歳で東京に戻ってくる。同31歳でいったん文筆から撤退して再度帰郷するが38歳で復帰。童謡作家の道はここからはじまるのだった。

 哀れなものへの感傷が詩作の動機だったらしい。社会主義への接近もそういう意味からだろう。「可憐死」という作品があって、先行する友人の詩人の「可憐児」という作品にならったらしい。こういう検証を実子がしている。昔はおおらかだった。