人間という動物

自分が眠っているところをビデオカメラに撮ってみても、動かないから退屈だ(実際にやった)。休息とはよくいったもので、本当に動かないから休息になるのだ。たまに寝返りをうったり無意識に尻をぽりぽり掻いてみたり。

 人間にとっての「動き」とは、物理的な「動き」と違うところがあるのだろう。被災者が体育館に寝泊まりして退屈しのぎに漫画本を読む光景を想像してみよう。かれの体は動いていないが、こころは動いている。なぜ体を動かさないかといえば、いまはその時期でないことを頭でわかっているからだ。地震か火災か、とにかくこの災害が収まったらどう行動すべきかはわかっている。しかしいまはその時期ではない。またはあれやこれやの選択に悩むことはあるだろう。イレギュラーなあれこれが心を悩ませ、「疲れ」させる。あるいは、うごかないからこそ疲れる、体が痛むことをそう表現する場合もある。