『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』(オチばらしあり)

なかなか面白かった。直球の反米映画だった。J.J.エイブラムスが思い入れなしに引き受けた『スタートレック』を「遺産を引き継ぐこと」をテーマに掲げて乗り切ったのとは好対照で、ヤマトは遺産でもなんでもない、「守るのは地球だ」というわけだ。

アマール星って、アフガニスタンイラクのことでしょ。SUS国による空爆とか、もろ、だもんな。

演出がことごとく古くさいのだが、懐かしかった(あの双子とか)。そうそう、こういうのが私にとってのアニメだったんだよなあ、と。

SUS国を恐るべきなのはその物量によってだけではない。その精神、自分の物差しだけで世界を要不要に分別する考え方が真に恐るべきものなのだ、というわけで、終盤はアメリカニズムが擬人化してヤマトの司令所に乗り込んでくる。

真帆が死んでしまう結末には驚いたが、これこそ戦中派のリアリズムだろう。村上春樹的な予定調和の「喪失感」などではなく、ゴロッとした石のように冷たく硬質な「喪失」。メンヘラが自殺してもそう驚かないが、なにも病んでない子がいきなり死ぬのはきつい。それが戦争だし、物語なのだ。愛するもののために戦ってもなお愛するものを失うことがある。