八方美人と不思議なニホンの時代

JALがつぶれるのだって、営利企業のはずなのに「国」も「利用者」も捨てなかったから、どちらか一方を選択しなかったからおこったことだ。国鉄をJRにした中曽根は偉大だった。

子供のころから不思議だった。日本人には近代が半分しか訪れていない。なぜ企業活動が公共(つまり不特定多数の中から利用者として立ちあらわれる固有の人々)を対象とするのではなく国民全体(不特定多数の残りの関心のない人を含む)を相手にするのか。妄想もいいとこだろと思っていた。

NHKだって税金から運営費を捻出していれば、受信料不払いについての戦後綿々と続いたおかしな論争などおこらなかった。税金からだと公平性が損なわれるとか思ったのだろうか。NHKとかJALとかは不思議なかたちでニホンを背負っている。

税金から運営すると、視聴率や聴取率が下がったさいに存在意義を問われるという懸念もあったかもしれない。だからNHKは「公共放送」という肩書きにこだわった。自局の番組内で「国営放送」と形容したタレントに訂正を強いていたのを思い出す。