自己規制がいけないことだとする規範

『ゴー宣』のかなり初期の頃に、読者からのハガキを相手に問答する回があって、小林よしのりに感化された読者が、小林が権威に従うな・自分で考えろといったことを根拠に、小林自身にたいして「先生には従いません」と言ってきたのを、小林がとりあげたことがあった。


小林は、わりとあっさりとこのハガキをいなしていたが、私は案外、このくだりこそが『ゴー宣』でいちばん重要なことが扱われた箇所なのではないかと思っている。


当時の若者も、今の若者も、ようするに心の奥底には相対主義がどんと居座っていて、なにもできないでいる。他人を規制することもできないし、自分も野方図に生きなければいけないと思っているのだ。