「堀越捜査一課長殿」

春陽文庫の校正変「テラビ」だって。こういう話を空想だけで組み立てているから乱歩はえらい(そうそうテレビ放送の黎明期にはラーメン屋みたいに「昼休み」があったらしいね)。「叙述トリックになりかかっている」探偵小説。同じ女に別人としてセックスをしてなお女に気づかれない変装の妙などというのは冗談とうけとるべきだろう。「犯罪の秘密が「無」に帰することを欲しないものがあります」これこそ文学の秘訣だろうなと思う。こういうことをあっさり書いてしまう乱歩の純真に読者は惚れてしまうのだ。