義手のない世界
えへへ、趣味で映画を見るの、二週間ぶりだぜ。帰還したって感じ。
トム・クルーズ、地味な企画に入れ込んでたんだな。かえってスターの影響力がどのくらいのものか試せるから、地味な映画をつくるのは理解できる。
いい映画だよ、これ。この映画のナチは、要するにブッシュ政権に加担していたアメリカ映画界のことを指してるんでしょ。「ナチ」のなかにも現権力を是認しない良心的なやつらはいる、と、そう言いたいわけだ(「みんながヒトラーでないと、世界にしめす必要がある」)。リベレーションを夢見る男たちは、自由をもとめるゲイたちのことでもあって、そこにブライアン・シンガーがこの企画に一枚かむ余地があったわけだ。
クルーズで義眼、といえば、どうしても『マイノリティ・リポート』を思い出さずにはいない。それを監督したスピルバーグは『ミュンヘン』で何かをいいたそうなそぶりだったけれど、基本的にはゼロ年代の政治状況をシカトして過ごした。暴力表現をぎりぎりまで抑えて、あたらしい時代の戦争映画表現を獲得したシンガーは「スピルバーグを超えた」と言うべきなんだろうな。
トム・ウィルキンソン、『フィクサー』でガツンと自己実現してから、もてまくりだね。
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