『幽霊を捕まえようとした科学者たち (文春文庫)』

幽霊を捕まえようとした科学者たち (文春文庫)

幽霊を捕まえようとした科学者たち (文春文庫)

幽霊や宇宙人はおろかUFOすら見ることなく30を過ぎてしまったので、もうこの先超自然現象とは無関係に死んでいくのだろうと思う。テレビというのが影響でかい。あれでだいたいのものを見た気知った気になってしまう。

これは著者も書くのを迷ったのではないかと推測するのだが、心霊研究者が心霊研究をこころざしたきっかけとしてウィリアム・ジェイムス以下各人各様の事情を紹介しているのである。しかし親類知己の喪失なんて生きていれば誰の身の上にも起きる。つまりオカルトにのめり込む理由にはならないのである。なるような気がするだけ。

オカルト現象は、言語や記憶や推測にたよって現実を補強して生活せざるをえない人間という存在に必須の障害に過ぎないのではないか。

巻末の人物事典に肖像画があって、ぎりぎり18世紀生まれのファラデーと、発明家のエジソン以外、男はみんなヒゲをたくわえていてちょっと笑ってしまった。17世紀のカツラのように、つけヒゲですませていた人もいたかもしれないなあ。