アバター

うかつなことにいままで知らなかったのだが、『アバター』はビスタサイズが正式画角で、劇場公開のシネスコサイズは「トリミング版」なのだそうだ。

しかし想像以上に「実物」が画面に残っている様子である。作品よりも、よほどメイキング風景に興味があるのである。メイキングだけで映像ソフトを販売してくれないだろうか。スタジオに馬までもちこんで撮影したらしい。撮影スケジュールの管理表などあったら(あるに決まっているが)、猛烈に見てみたいのだが。

キャメロンは前作の成功を次回作への糧とすることを律儀にくり返したから、ここまで『アバター』のクオリティを異様なまでに上げることができたのだろう。デジタルは、現実をモザイクに分割する技術だから、現実はデジタルとは違うというのは、端的にウソなのである。より詳細に、大量にデジタル情報を扱えるようになった時、デジタルで作成した映像は現実を映したそれと区別がつかなくなるだろう。300億円だかを投入したという『アバター』ですら、そこまではいかなかった。もう10年前の話になるが、ウォルフガング・ペーターゼンの『パーフェクトストーム』を観た際に、「カメラはどこに置いてるんだよ」と思ったものだが、西洋人はあまりそういうことに拘らずに、世界を創造することに熱中する傾向があるらしい。『アバター』ですら、広角レンズで撮影したと想定して作成された画面は、まだ甘い感じがあった。