エーガやマンガはシナリオだぜ! という立場は重々承知しておりますが…。

結局私は視覚偏重型なので、気に入った「ショット」が見られれば満足なのである。

世間では凡作ということで確定しているミミ・レダーの『ピースメーカー』の、狙撃兵が通行人を射殺していくシーンで、私は映画館で泣き出してしまったことがある。なんて可哀想なやつなんだろう。被害者たちはもちろん、情けない運命を強いられた狙撃兵をも憐れんで号泣したのである。私にとっては『ピースメーカー』は、このシーンがあったというだけで傑作である。

手塚マンガも、そのシナリオよりは、絵柄、線のタッチにエロスを感じて惹かれるのである。